はじめに
死亡総数に占める疾病の割合は、かつて猛威を振るった感染症が徐々に減少し、脳卒中、心疾患、悪性新生物(がん)などの生活習慣病の比率が高まっています。かつては40~60歳の働き盛りに多い疾患との意味から「成人病」と呼ばれてきました。しかし、子どもの頃からの悪い生活習慣が原因で起きる低年齢での発病もあることから、平成8年に「生活習慣病」と呼称を改めました。
生活習慣病は、食生活、喫煙、運動不足など長期にわたる生活習慣に起因しています。身体的には大きな変化がないように思われても、加齢にともない、実際には機能の減退が起こり始めています。将来の健康のためにも「生活習慣病」に目を向け、予防と対策が不可欠です。
糖質中心の食生活は栄養不足になりやすい
生活習慣病の原因の一つである食生活についてみていきましょう。
現在人は米飯や、小麦粉から作られたパンやめんを主食としているため、糖質をエネルギーにしています。身の回りには糖質が多く含まれる食べ物は多く存在しています。安くて手軽に手に入るため、糖質中心の食生活になっている方は多いのではないでしょうか?特に、食事を簡単に済ませる独身の方、忙しく働く中年層の方は注意が必要です。
糖質中心の食事は、実は栄養不足になりやすいといわれています。糖質を体内で消化・分解するにはビタミンB群などほかの栄養素の助けが必要になります。しかし、炭水化物の多くにはビタミンやミネラルが実はあまり含まれていません。その栄養素の補給には、レバーや豚肉、まぐろ、牛乳、鮭などのたんぱく質が豊富な食品が必須です。
正しい糖質オフは必要な栄養素をとる食事法

「糖質オフ」とは、砂糖や主食、お菓子などの炭水化物を控えて肉や魚、野菜をしっかり食べる食生活をいいます。糖質に偏りがちな食生活を見直し、たんぱく質やビタミン、ミネラル、脂質といった栄養素をしっかりとることが最も重要です。正しい糖質オフは、必要な栄養をしっかりとることで、体を健康へと導きます。
糖質オフの効果4つ
- 痩せる!
- アンチエイジング!
- パフォーマンス向上!
- 健康になる!
痩せる!
肉や魚などのたんぱく質、野菜もたっぷり食べることで、必要な栄養素をしっかりとるので筋力量を落とさずに痩せることができます。筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、太りにくい体になります。糖質を控えることで血糖値が安定し、空腹感を感じにくくなり、食べすぎの防止につながります。
アンチエイジング!
たんぱく質をしっかりとるため、肌の新陳代謝が正常になり、肌荒れや乾燥肌を改善させ、肌がきれいになります。また。糖質過多で傷んだ血管を修復し、どろどろの血液を改善させ、体の内側から健康を目指せます。
パフォーマンス向上!
血糖値の急上昇や急下降により発生していたイライラや気持ちの揺れが落ち着き、穏やかな気持ちでいられます。気持ちが穏やかになることで少しのストレスが気にならなくなり、不安な気持ちが解消され、気持ちが明るくなります。
健康になる!
過剰な糖質をとらないため、食後に血糖値が急上昇せず、インスリンの分泌量も安定し、糖尿病予防につながります。血糖値の上昇が穏やかになることで血管壁を傷つけるリスクを減らすことができ、動脈硬化予防につながります。
糖質オフによる食事制限のルール
糖質量を守る
1日に摂取する量は120g以下にしましょう。1食あたり40g以下にします。120gの範囲内であれば、おやつや間食は自由です。
米飯70g(お茶碗½弱)=約30gの糖質になります。甘い味付けは糖質が高くなるため、注意しましょう。
※1日の糖質量については軽め、中程度、強度の3パターンあります。上記は中程度のやり方です。詳しいやり方は後程まとめます※
たんぱく質をしっかりとる
筋肉量を落とさないためには、体重1㎏あたり3gのたんぱく質が必要です。体重が50㎏の場合は50×1.3g=65gのたんぱく質が必要です。
お肉100gで約20g、卵1個(50g)で約6gのたんぱく質が摂れます。
足りない場合はプロテインを飲むことで補うこともおすすめです。
まとめ
生活習慣病は、食生活をはじめとする長期にわたる生活習慣に起因しています。
糖質中心の食生活になっていませんか?
糖質中心の食生活は栄養不足になりやすいため注意が必要です。
糖質オフによる食事制限は、主食やお菓子などの糖質を控えて肉や魚といったたんぱく質、野菜をしっかり食べるため、栄養バランスの偏りが少ないと言われています。
糖質オフの効果はダイエット効果だけでなく、糖尿病や動脈硬化の予防にもつながるため、より健康的な生活を目指すために重要です。
糖質オフによる食事制限のルールは1日の糖質量を守ること、たんぱく質をしっかりとることです。肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質と、野菜をたっぷりつかったおかずを、献立の中心にしておなかいっぱいに食べましょう。
参考図書:いちばんよくわかる!糖質オフ大全科 主婦の友社