という声を耳にします。
重症な患者さんを救う最後の砦であるICUは病院の中でも花形と言える部署で、人気も高いと思います。山Pの『コードブルー』を見てドクターヘリに乗りたいと憧れる方、ERに行きたいという方はまずICUを目指したいと思うのではないでしょうか?
この記事では、ICUで働きたい!という思いがある配属前の新人看護師さんに向けて、ICU看護師の経験を踏まえて「配属前に勉強しておくと良いこと」をお伝えします。
ICUに配属される前に勉強しておいたほうが良いこと
- 基本的な看護技術
- 全身管理に必要な基礎知識
- 急変時対応
- 使う頻度が高い薬剤
- 初心者向けの本『はじめてのICU看護』
基本的な看護技術
新人看護師の場合は基本的な看護技術を学んでおきましょう。
おむつ交換や清拭、陰部洗浄などの清潔ケアや吸引、酸素療法は配属されたら早い段階で行うことになります。知識として手順や注意点をしっかりと理解しておくことをおすすめします。
その理由は、配属されてからは疾患や看護について勉強したくなるからです。
看護技術を学ぶ時間がなかなか確保できなくなる(疾患や看護のほうが優先順位が高いと感じる)ようになるので、あらかじめ基本的な看護技術は理解しておきましょう。
- 清潔ケア(清拭・陰部洗浄・おむつ交換・口腔ケア・洗髪などなど)
- 感染予防(スタンダードプリコーション)
- 採血(ICUではAライン採血ばかりですが、覚えておくといざというときに役立ちます)
- 輸液・輸液ポンプの使い方・シリンジポンプの使い方(必ず使います)
- 輸血(必ず使います)
- 吸引(口腔・鼻腔・気管支吸引)
- 酸素療法
- 経管栄養
などなど…
おすすめの看護技術の本
日常生活を援助する技術のやり方が書いてある『看護技術がみえる①』はなくても問題ありませんでした。ICUの場合、車いすに乗るときは大勢で介助しますし、基本的にリハビリの方々がついてくれます。知っておいたほうが良いのは間違いないですが、優先順位は低いと感じます。金銭的に余裕があれば①も買っても良いですが、注射や採血、輸液、輸血などが書かれている②のみ購入でも十分です。
『看護技術がみえるvol.1基礎看護技術』は,1200点を超えるイラストと1000点を超える写真で,シーツ交換,車いすなど日常生活を援助する技術のやり方とその周辺知識を収録したビジュアルテキストです.
原理,解剖,生理の図版を多数掲載し,根拠に基づいた技術を解説しています.
また,現場の看護師や医師のアドバイスが随所に散りばめられ,実践的な内容になっています.
『看護技術がみえるvol.2臨床看護技術』は、1200点を超えるイラストと1200点を超える写真で、注射や採血など侵襲的な技術のやり方とその周辺知識を収録したビジュアルテキストです。解剖、生理、病態の図版を多数掲載し、根拠に基づいた技術を解説しています。また、現場の看護師や医師のアドバイスが随所に散りばめられ、実践的な内容になっています。
全身管理に必要な基礎知識
バイタルサインの正常値
以下バイタルサインの正常値だけでも調べておきましょう。
- 体温
- 血圧
- 心拍数
- 呼吸
- 意識レベル
- 尿量
余裕があれば以下循環管理&呼吸管理についても勉強しておくと良いです。
循環管理に必要な基礎知識
- 心臓の構造
- 冠動脈の解剖
- 血圧に関わる要素(心拍出量・末梢血管抵抗・循環血液量)
- 心電図モニターのつけ方
- 心電図波形の読み方
- その他
呼吸管理に必要な基礎知識
- 呼吸器の解剖生理
- ガス交換とは
- 肺胞と血液のガス交換障害とは
- 動脈血液ガス分析の正常値(酸素化・換気の評価、酸塩基平衡の評価)
- その他
循環管理・呼吸管理はICUではとても重要です。まずは解剖生理を学んでおきましょう。
後にもご紹介していますが、『はじめてのICU看護』という本に上記内容が書かれているので、読んでみるといいかもしれません。
急変時対応
ICUの患者さんは相手が新人だろうが遠慮なく急変します。
いざというときのために、急変時の対応について学んでおきましょう。
おすすめのサイト
日本ACLSガイドHP(https://acls.or.jp/dictionary/bls/)
AHA公認ACLS、BLS講習会 福岡博多トレーニングセンター HP (https://blsacls.org/bls-general/)
使用頻度の高い薬剤
救急カートに入っている薬剤全部
救急カートに入っている薬剤はその作用と使用目的について調べておきましょう。
どの病院でも、病院内全体で使っている救急カートがあると思います。
中身はどの部署も必ず同じです。チェックシートを1枚もらって、一つずつ調べておくことをおすすめします。配属前でもできて、どの部署でも必ず役に立つのでおすすめです。
循環器薬の各受容体の作用場所とはたらき
ひとつひとつ薬剤の作用を調べているのは大変ですが、循環器薬の場合は【受容体・作用場所・はたらき】を覚えておくと応用ができます。ICUでは循環器薬をよく使うので、循環器の解剖生理とあわせて学習するのがおすすめです
α₁、β₁、β₂の3つだけでよいので覚えておきましょう。
引用文献:ICUクイックノート
配属前に勉強するならこの本がおすすめ!
ICUに配属前にICUについて勉強するなら『はじめてのICU看護』がおすすめです!
その理由は
- ICUについて簡潔にまとまっている
- ICU看護に必要な知識が網羅されている
- 本のボリュームが初心者にはちょうど良い
- 値段は2600円+税と手がだしやすい
- 本の厚さが薄いため場所をとらないし軽い。持ち運びも便利
私はICUに行くかどうかわからないときに、おためしでこの1冊だけは買いました。正直、配属されないと書かれている意味が理解しきれない部分もあります。どうしてもICUに行きたい!と思っているならざっくり読んで、ICUについて概要だけでも知っておくと良いです。
配属希望を書く紙に本で学んだことも踏まえて「ICUのこんなところが魅力で、こんな看護をしたいから希望しました。」と書けると、配属される可能性が上がるかもしれません。
まとめ
ICUに行きたいけど、配属前にどんな勉強をしたらいいの?という方に向けて、勉強したほうが良いことをご紹介しました。『基本的な看護技術』、『全身管理に必要な基礎知識』、『急変時対応の知識』、『使う頻度が高い薬剤』の4つは配属される前に学んでおくと、配属されてから活かすことができます。仮にICUでなくても役に立つ知識なので学んでおくと良いかと思います。
可能であれば、ICU初心者向けの本を一冊購入しましょう。最初から難しい本を読む必要はありません。簡単なものがおすすめです。『はじめてのICU看護』は私が配属される前に購入した本で、とてもおすすめです。
新卒でICUってどうなの?
私も新卒でICUを希望して配属されましたが、最初に配属された場所がICUでよかったと感じています。
学ぶことは多く、身近に知識が豊富で頼れる先輩がたくさんいます。
重症度が高く、忙しいところだからこそ、気持ちの良い連帯感があります。みんなで患者さんの命を守ろうと、ともに考え、協力しあうことができます。
ICUは大変です。一般病棟よりも幅広く、たくさんの知識が必要です。勉強が好きな人、学ぶことが苦ではない人。逆に多少の知識不足に焦りを感じず自分のペースで働ける人には向いていると感じます。(マイペースに働ける人のほうが長く続いたりするので一生懸命やりすぎる必要はありません。)
配属されるコツは?
第1希望の欄に大きく「ICU」と書き、熱い思いをたくさん書きましょう。研修に行っていなくても、思いが強ければ配属されます。私の同期でも何人かいました。
ICUはどんなところなのか、理解しておくことも重要です。希望の部署に配属される人は事前にICUならICUの本を、手術室なら手術看護の本を持っています。
ICUの本を読んだ上で「ICUのこんなところがいいな、こういうことがしたいな」という理由をあげておくことが大切です。
~前職の後輩に向けて~
ICU、手術室、救命センターの3つは毎年大人気です。
※ICUに配属されたいなら『救命センター』は絶対に配属されたくない部署の欄に書きましょう。
ICUに配属される確率が上がりそうな希望調査票の書き方はこちらです。(私の例)
第1志望:ICU
〇〇〇〇〇…
〇〇〇〇〇…
〇〇〇…(びっしりと書く)
第2志望:消化器or小児科orER→人気部署&新卒は入れない部署で欄を埋めとく
〇〇〇(1行程度で良い)
第3志望:手術室→人気部署なので第3に書いたところで行くことはできない
〇〇〇(1行程度で良い)
第一志望じゃなきゃ嫌!!!!というアピール・熱意が大事です。どうしてもICUがいい、ICUじゃなきゃ嫌!とう熱い思いをみたら、看護部のお偉いさんも納得してくれます。わざとらしすぎますが気にすることはありません…一度配属されたらよっぽどのことがないと異動はできませんからね…希望する部署に行けることを願っています!
ICUに配属されたい新人看護師に向けて、配属前に勉強したほうが良いこと+αでした!
お役に立てば幸いです(^^♪