元ICU看護師のかなこです!
この記事では、
- ICU看護師がやっているお仕事
についてお伝えします!
ICU看護師ってどんなことしているの?と疑問に思っている方に現場の様子を知ってもらえればと思います。
※※現役時代に書いた記事を再編集しています※※
ICU看護師のお仕事
全体申し送り
- 師長からのあいさつ
- 連絡事項の報告
前勤務者から引き継いで最初にすること
受け持ち患者へのあいさつ
ICUにいる患者さんは意識がない方も多くいますが、しっかりと声をかけましょう。
眠っているようにみえて、目が覚めたときに実は声が聞こえていたと話す方は多くいます。
意識がないからとあいさつや説明もなく何かを始めるのは良いことではありません。
きちんと一人の人として尊厳を守る対応をしましょう。
医療機器や薬剤の確認
あいさつができたら患者さんの身の回りの確認をします。
- 繋がっている点滴の確認(患者の名前、薬の種類、量、どこから投与しているか)
- モニターの確認(ゼロ点はあっているか?血圧の波形はなまっていないか?アラームの設定はいくつか?等々)
生命維持装置がある場合はそれらのチェック
- 人工呼吸器の設定や機器トラブルの有無を確認
- CRRT(24時間持続で透析をする機械)の機器確認
- ECMOの機器確認
レントゲン撮影
看護師4名ほどで動けない患者さんを持ち上げて、背中やおなかの下にレントゲンの板をいれます。100キロ越えの患者さんには大変苦労します。
- 胸部レントゲン
- 腹部レントゲン
- 必要に応じてその他の部位をとります。
ICUにいる患者さんはとても重症なので、1日1日で状態の変化があります。
- 肺の状態は?腸の内容物やガスの状態は?
- 胃菅や挿管チューブ、CVカテ先が正しい位置にはいっているか等を確認します。
体重測定
ベッドに体重計の機能が付いていることが多いです。
必要に応じて体重を測ります。
抗生剤などの点滴の準備
- 使用する薬剤はすべてダブルチェック(2人の看護師で確認)
- 薬を準備(液体のものはアンプルをカットして吸い出します)(粉になっているものは希釈液で溶解します)
(ICU患者さんは非常に具合が悪く、使う点滴の数はとても多くなります)
- 決められた時間に点滴を落とす
(例:9時、10時、11時、12時、15時、18時、21時、22時、24時、3時、6時)
シリンジポンプの薬剤を準備する
- 昇圧剤(血圧をあげる薬)
- 抗不整脈薬(不整脈を落ち着かせる薬)
- 鎮静剤(うとうとさせる薬)
- 鎮痛剤(痛みを抑える薬)
- 血糖値をさげる薬
- 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
など、準備をする薬はたくさんあります。
これらはどのくらいに終わりそうか、事前に確認をして、間に合うように作ります。
1日の仕事が始まる前に、事前に適当な紙にメモをします。
✔時間
✔薬剤名
✔いつ何をするか?
※いつでも見られるTODOリストを作成するとスケジュールが目に見え、忙しくても薬剤の準備やタイミングに気づけるのでおすすめです。
清潔ケア
- 清拭(体を拭きます)
- 陰部洗浄(尿の管が入っている場合はそこからの尿路感染症のリスクがあるため必ずやらなくてはいけません)
- バルーンカテーテルの位置を変える(ずっと同じ場所があたることでMDRPUや尿道損傷のリスクあるため)
- おむつ交換(便などで汚染されていたらその都度交換します→皮膚トラブル防止)
清潔ケアは、午後は家族の面会時間になるのでよほどのことがないかぎり午前中に終わらせます。
口腔ケア
口腔内の汚染は誤嚥性肺炎のリスクを高めます。
菌が繁殖しないように、8時間毎(各勤務)で行います。
内服介助
- ダブルチェックをして間違いがないか確認します。
- 飲める患者さんには誤嚥に注意しながら飲んでもらいます。
- 飲めない患者さんには、簡易懸濁(内服を砕いてお湯で溶かすこと)を行い、胃菅(鼻から胃まで入っているチューブ)から内服を入れます。
栄養管理
ICUでは、口からご飯を食べられる人は少数です。
胃菅から栄養剤をいれることが多いです。
24時間少量ずつ経腸栄養ポンプで投与し続ける人。
朝、昼、夕の3回に分けて栄養剤を投与する(分食)の人などがいます。
採血
2時間おき、4時間おき、8時間おきなど、患者さんによって採血の頻度は違います。
手首にAライン(動脈に入っている管で血圧を24時間モニタリングができ、採血をすることもできる)が入っているため、患者さんに針を刺すことはなく採血ができます。
時間ごとにAラインから採血
→動脈血ガス分析を実施
- 動脈血のデータを確認
- 異常があれば医師に報告
全身状態の管理
ICUでは原則的に1人の看護師が2人の患者を受け持ちます。(病院の規模や加算によります)
受け持ち患者の状態は受け持っている間は常に観察します。
4時間毎、8時間毎に血圧、HR、体温、呼吸、意識レベルなどのバイタルサインを観察します。
常に全身状態に変化はないか、観察しています。
患者さんからのコール対応
ICUの患者さんは、意識がなく自分で訴えられない人も多いのですが、
中には自分で訴えることができる人もいます。
呼ばれたらすぐに対応します。
痛みが強いようであれば医師に相談して指示をもらって痛み止めを使ったり、
気持ちが悪くて吐きそうであれば医師に相談して 指示をもらって吐き気止めをつかったり、その時々に必要なことをやっていきます。
CT、MRI、透析などの検査出し
検査はICU内ではさすがにできないので、ベッドと医療機器と一緒に移動することになります。
- まわりの点滴を移動しやすいようにまとめる
- いらないものは外す(経腸栄養や一時的に止めてもよい点滴など)
予定の検査だけではなく、急に状態が悪化して検査に行くことがとても多いです。
創部の処置
【所要時間 30~45分以上】
具体的内容は言えませんが、創部を洗って新しいガーゼや包帯でまき直しをします。
(複数の医者、複数の看護師が必要になる大きな処置もあります)
CRRTの管理
【勤務中は常に】
・24時間かけて行う透析の機械のこと。
(通常の透析は4時間~6時間など、短時間でやりますが、重症患者さんは短時間であると血圧変動のリスクが高いです。)
- 透析液・補液の交換
- 4時間ごとの圧のチェック
- 8時間ごとのACTのチェック
人工呼吸器の管理
【勤務中は常に】
- 人工呼吸器の設定
- 挿管チューブの固定の位置がずれていないか
- 人工呼吸器のモニタリング
- 挿管チューブの位置を1日1回右左にずらず(MDRPU予防のため)
- 痰があれば吸引をする
医療処置の介助
看護師は以下のような医療行為を行う医師の補助にあたります。
- CV挿入
- Aライン挿入
- 挿管(口に機械で息をさせるための管をいれること)
- 抜管(口に入っている管を抜くこと)
- 胸腔ドレーンの挿入介助
- 気管支鏡検査の介助
- 創傷処置
手術後の患者さんの受け入れ
大きな手術をした後の患者さんはICUに入ります
手術室まで迎えにいって、ICUまで連れてきます。
手術直後は状態の変動の可能性が高いです。
状態が落ち着くまではしっかりと管理を行います。
家族対応・家族看護
ICUに入る患者さんは重症です。
患者さんの家族は非常に不安な思いで面会にきます。
適切な声掛け、情報提供などは難しさがあります。
主治医との連絡調整
入院するときに、主治医を通じてさまざまな同意書をとりますが、時折忘れられていることがあります。そういったときは看護師から医者に同意書や渡す書類の作成を依頼をします。
家族が主治医とのIC(病状説明)を希望していたら、その旨を伝え、医者の都合と家族の都合を聞き取り時間をセッティングします。
医師の指示がないと、看護師は手をだせないことがあります。
安静度(どの程度動いていいのか)、使うはずの薬が処方されていないなど、不備があれば医者にいれてもらうよう依頼します。
リハビリの連絡調整
・何時からどんなリハビリをするか、看護師は担当のリハビリと相談して決定します。
・リハビリは看護師も手伝います。
たくさん入っている管の管理は看護師の役目です。
人工呼吸器が外れたり、点滴が間違っても抜けないように、目を光らせます。
※たまに勢いよく起こししまって「ああああああ!」ということがありますが、これは受け持ち看護師の管理不足でもあります。よく管理しましょう。
急変時対応
・ICUの患者さんは急に状態が変わることがあります。
・コードブルー(スタットコールとも)といいます。
- 血圧が下がっている(ショック状態)
- SpO2が60%(低酸素)
- 致死的不整脈がでている
- 心臓がとまりそう
などなど、
緊急事態への対応は非常に重要です。
患者さんはいつ急変するかわかりません。
患者さんの記録
・勤務中の患者さんの状態を記録に残します。
・空いている時間にできればよいのですが、次の勤務帯の看護師に申し送りをしてからようやく最後の仕事(記録)に入ることが多いです。
勤務終了…
ICUの現場は忙しいです。
計画を立てても、予定外のことが多くあります。
上記にあげたことをすべて1人でやるわけではありませんが、さまざまな処置・急な入院、急変、予定外の処置が入るとなかなか時間通りには終われません。
最前線で働く看護師さんはとても大変です。
まとめ
- 全体申し送り
- 患者さんへのあいさつと身の周りの確認や環境整備
- レントゲン撮影
- 体重測定
- 抗生剤などの点滴の準備
- 清潔ケア
- 口腔ケア
- 内服介助
- 栄養管理
- 採血
- 全身状態の管理
- 患者さんからのコール対応
- CT、MRI、透析などの検査出し
- 創部の処置
- CRRTの管理
- 人工呼吸器の管理
- 医療処置の介助
- 家族対応・家族看護
- リハビリの連絡調整
- 急変時対応
- 患者さんの記録
ICU看護師はこのようにさまざまなことをしています。一般病棟と同じこともあれば、まったく違うこともあるかと思います。
ICUは24時間重症な患者さんをみている場所です。状態は昼だろうが、夜だろうが、変化します。夜中でも必要であれば検査に行くし、緊急手術になることもあります。昼間だけでなく、夜も同じようなお仕事をしています。
1人ではできないことがたくさんあるので、仲間との協力がとても大切です!
ICUに興味のある方の参考になれば幸いです(^^♪