体験談

【看護師から保健師へ】看護師としての実務経験が保健師として活かされる場面とは

私は看護師として働いてからフリーランス保健師になりました。

保健センターや保健所、企業の保健師とは異なる働き方で、

業務委託として特定保健指導のお仕事をいただいています。

いろんなところに行って働く方々の面談をしたり、電話支援をしたりしています。

特定保健指導のお仕事は、看護師としての臨床経験が生かされることがあると感じます。

 

この記事では、看護師としての勤務経験がどのように保健師(特定保健指導)のお仕事に生かされているのか、お伝えしていきます!

私の看護師としての経験

私の看護師としての簡単な経歴は以下の通りです。

  • 大きな病院のICUで約3年間勤務
  • 現在看護師4年目/保健師1年目

ICUで関わってきた患者さんは

  • 命が助かるかどうか分からない超急性期の意識不明な方(心停止後など)
  • 大きな手術後の方
  • 24時間の集中管理が必要な特に重症な方

疾患はバラバラ、意識がある人のほうが少ないのではと感じるほどです。

受け持つ人数は一般病棟と比べると少なく、1人の患者さんに対して手厚い関わりができる環境でした。

ここでの経験から得られたことは

  • 1人ひとりアセスメントを行ってその時に必要なことは何か考える力
  • 臨機応変に対応できる力
  • 働く世代の急な病気はご本人だけでなくその家族も苦しむという姿を見て知っていること

だと思っています。

お仕事について~特定保健指導とは?~

40歳から74歳の方でメタボリックシンドロームのリスクが高いと判定された人を対象に「動機付け支援」「積極的支援」を行います。

初回面談は30分~60分で、この時間は対象者さんとの信頼関係づくりが最も大切だと考えています。

このお仕事をはじめて感じたのは、それまでの生活習慣をこの1回の面談でがらりと変えることなんかできないということです。

 

生活習慣を変えるきっかけは、何年もかけて突然あらわれると聞きます。

私が大切にしているのは、「特定保健指導を受けても変わらないし、もう受けたくない」と思わせないこと。信頼関係さえあれば不快な気持ちにならず、来年以降の支援がきっかけになるチャンスが生まれます。

できれば行動が変わるきっかけになってほしいけれど、来年以降の大切なチャンスをなくさないよう、意識して初回面談をしています。

看護師としての勤務経験が特定保健指導に活かされるときとは

看護師としての勤務経験があるからこそ、話の幅が広がります。また、生活習慣病の先に大きな病気があることを知っていることも強みだと思います。

  • 話の幅が広がる
  • 生活習慣病の先にある大きな病気とそれによっておこることを理解しているため言葉に重みをもたせることができる(かもしれない)

話の幅が広がる

特定保健指導の初回面談では、生活習慣に関わる話以外にも雑談もしています。

保健師という言葉は有名ではないので、

「元々看護師していました」というと医療者であることを理解してくれることが多いと感じます。

  • どこで看護師していたのか
  • 配属先
  • どんな想いで看護師を辞めて保健師になったのか

などなど伝えることがあります。

どんな人であるか知ってもらうことは、その後の支援でも大切だと考えています。

「奥さんが看護師なんだよ」

「看護師もブラックだよね」

と話しが広がることがあります。

もしくは、

「親が入院したんです」

「親の介護をしているんです」

といった方との会話でも病院での勤務経験があることで

  • どんなことが心配で
  • どんな思いを抱えているのか
  • どれほど大変なのか

想像することができます。

看護師としての実務経験があるからこそより共感できることがあります。

生活習慣病の先にある大きな病気を理解している

元々ICUにいた私は心筋梗塞による心停止で運ばれてくる方など、急な病気でそれまでの生活が一変した方々をみてきました。

病気になってしまっては遅いということを経験から強く感じているので

そうなって欲しくないという思いを伝えることができます。

ICUでの経験があるからこそ、大きな病気は本人だけでなくその家族まで辛い思いをすること。元の生活に戻れない可能性があることを知っています。

だからこそ、それを防ぐためにこの仕事をしているのだと伝えることができます。

家庭があり、お子さんが小さい方の場合は「子供のために健康になりたい」と思う方もいます。

脅すような会話はしませんが、

病気になってからのことを知っているのは強みだと思います。

看護師の経験でこれがあったらよかったなと感じること

看護師としての勤務経験として、これがあったらよかったなぁと感じることは

  • ICU以外での患者さんとの関わり
  • 退院支援の経験

です。

なくてもなんとかなっていますが、あったらより良いのかなぁと感じます。

ICU以外の患者さんとの関わり

急性期の目まぐるしく状況が変わる患者さんの姿は知っていますが、ICUから一般病棟に移動された方や、ゆっくりと時間が流れる慢性期・回復期病棟での患者さんの生活を私は知りません。

保健指導で関わることがあるのは「がん」の治療をした方。

ICUに入ってくる方は「がん」はあっても手術後の方ばかりだったので、

  • 病気と共にどのように暮らしているのか
  • 手術後にどんな経過を辿って退院したのか
  • 退院後にどんなことに気を付けて生活しているのか
  • 薬でどんな副作用があるのか

知識も経験もありません。

重症な糖尿病や24時間透析が必要な病気を発症したばかりの超急性期の方はみたことがありますが、回復した後の病気と共存していくことになった方との関わりは経験がありません。

ないものねだりですが、そういった経験がないのは少しだけ残念に感じます。

退院支援の経験がないこと

ICUから退院する人はいなかったので、「自宅に戻ったら〇〇な生活をしたほうがいいですよ」といった指導をしたことがありませんでした。

指導の経験がないので、指導力はまだまだだと感じます。(成長中です。)

病院から自宅に戻る患者さんとの関わりや、食事指導、運動指導といった経験ができていたら、より説得力のある説明や、違う視点から指導できることもあったのではないかと感じます。

保健指導をする上で大切なもの

保健指導をする上で最も大切なのは「信頼関係」を築くことです。

対象者さんは知識を求めているわけではないため、いかにお互いが心地よい関係を築けるか、次の支援を受けてもらえるかという視点が必要です。

そんな「信頼関係」を築くために必要なのは

  • コミュニケーション力
  • 誠実さ

ではないでしょうか。

コミュニケーション力

保健指導では、生活習慣病に関する専門的知識があること、アセスメント力が必要ですが、それよりも相手の考えている思いを引き出し、自分で決定できるようにサポートする力が重要だと感じます。

看護師経験があろうがなかろうが、コミュニケーション力があればまずOK!だと感じます。

誠実であること

お互い初回面談では知らない人同士です。

分からないことを分からないまま適当に話すとその違和感は相手に伝わりますよね。

誠実ではありませんし、信頼関係が築けなくなります。

分からないことは分からないと正直に話すことが大切です。

わからないことは「どんな感じか教えていただけますか?」と聞いて、理解を深める。

そんな誠実さが大切です。

おすすめの本

私が保健指導を行う際、最も参考にしている本はこちらです。

ミレイ先生のアドラー流“勇気づけ”保健指導: アドラー心理学で面談技法のスキルが身につく!

特定保健指導は“指導”ではないのだと、この本から学びました。

 

まとめ

この記事では私の簡単な経歴から、今行っているお仕事の特定保健指導について、看護師としての実務経験が活かされる場面についてお伝えしました。

看護師の経験がもっとたくさんあったらなと思うこともありますが、

経験や知識よりも大切なのは「コミュニケーション力」と「誠実さ」「信頼関係を築くこと」です。

看護師の経験があることで、指導により説得力を持たせることができたり、会話の幅が広がったり、共感できる会話ができることもあります。

ICUでの経験があるからこそ情熱をもってこのお仕事ができると感じます。

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